#04 たまには色相の曇らない24時
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「………」
3枚目の報告書を書き上げたところでふと顔をあげると、いつの間にか新しい日が始まっていた。
『んーっ』と呻きながら腕を伸ばして時計を確認したその顔にも、小さな驚きが浮かぶ。
そのままふっと移動してきた視線に内心のうろたえを隠し、立ち上がる。
「…コーヒー飲むか。」
『あ、はい』と応えながらも席を立ってくるのを見ると、女にしてはキツめのその顔立ちに笑みが覗いた。
『すみません、私がやります。』
「………」
常守といいなんといい、どうも上司と部下という関係を完全に逆さに認識しているらしい。
「……監視官。」
『はい?』
未だにその名前を呼べない自分の葛藤など知ったことかとばかりに、テキパキと動かしていた手を止めて大きな瞳が純粋な疑問を浮かべて見上げてくる。
「…………いや、いい。」
『……はぁ。』
背を向けて自分のデスクに戻りかけ、自分から言い出したくせに挙句ここまで運ばせようとしている自分に気づいて立ち止まる。
挙動不審気味な自覚にいたたまれない思いで振り返って窺い見るが、その目は湯気を上げ始めたケトルに注がれている。
休憩中にシャワーを済ませてきたのだろう、緩く波打った髪がいつにも増して柔らかそうだ。
湯気を見つめるその顔の乗っている肩は細いと言うより、薄いと言った方が正しいだろう。
胸部のラインを通って皺ひとつないスカートから伸びる足に視線を流したところで、『狡噛さーん』と能天気な声が響く。
『お砂糖とかミルクとか入れます?』
「………」
『……狡噛さん?』
「………悪い。」