#03 飼育の作法
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ドアコックを力任せに捻り、開いている手で細い肩を掴む。
背後を確認した視界に瞳孔の開ききった金原が大写しになり、次いで空を押すようにして伸びてきた巨大な鉄の腕から身を引く。
『ううわっ…!』
同時に、身を翻す。
黄色っぽい明かりに浮かび上がる階段を駆け下りる背に、金原の罵声がぶつかる。
『――…なんでこんな、こんな無謀な…っ』
カンカンと耳に響く音に、声を張り上げる。
「嫌いか!」
『好きではないですっ!!』
叩くような返答に、久しぶりに浮き立っている身体を自覚しないわけにはいかなかった。
「人の生き死ににまつわる真相なんだ。それを暴こうと思ったら、こっちも命懸けになるのは当然だ!」
そうして再び口を開こうとした時、いつの間にか途絶えたヒールの音に気づく。
「――!?」
刹那横を過ぎ去った明るい影に、目を見張る。
低い姿勢で着地したその肩に長い髪が落ち着くより早く、その身が動く。
そのまま無言で駆け下りていく、薄い背中。
「佐――」
呼びかけた名を飲み下し、足を速める。
「………」
嫌いなものの情報ばかりが、増えていく。