#32 完璧な世界 後編
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「いい返事ね。」
少しだけ目元を和ませた朱ちゃんを横目に、レイドジャケットに腕を通す。
感傷にも似た記憶との照合を止めた時、滲みながら近づいてくる赤色灯が目に入った。
「あれは…?」
巨大な装甲バンが停車し、鈍い音をたてて幾重にも施されたロックを解除し始める。
「今から会う連中は同じ人間ではあるけれど、君とは全く違う判断基準で犯罪に対処する。彼等の行動は、時として君の理解を超えたものになるかもしれない。」
放ったジャケットとホルスターを胸に抱いた新人が、僅かに眉を下げてこちらを見る。
『信頼する分だけ用心もしなさい。なめてかかると大怪我をする…それが執行官。貴女の預かる部下達だよ。』
装備運搬ドローンの前まで歩いてきた4人が、無造作とも言える手つきでそこに収められていたものを取り出していく。
おっかなびっくりという風に銃杷に手を添えた少女の瞳が、青く染まる。
<携帯型心理診断鎮圧執行システムドミネーター、起動しました。>
「…行こう。」
しゃんとした背中に続いてドミネーターを回しながら、一歩を踏み出す。
少しの緊張と高揚を感じ取ったセンサーが、ピピッと微かな音を立てて流行る気持ちを急きたてる。
『了っ解ー。』