#32 完璧な世界 後編
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南国のリゾートを模した部屋に、寄せては返す波の音が遠く、響く。
公安局内執行官宿舎、唐之杜志恩の部屋だ。
「一係も様変わりしちゃったわよねぇ。」
紫煙の香りが、鼻空をくすぐる。
「秀くんに征さん、慎也くん。皆いなくなっちゃった…。」
どうでも良さそうにでもどこか名残惜しげなその声を背中で聞きながら、起き上がる。
「時代遅れの男達には、この仕事は向いてないってコト。」
征陸の死は、悲しい。
縢のは…納得いかない。
狡噛は、アイツは槙島を殺して、どこへ消えたのだろう。
槙島を殺して佐々山の仇をとるという行為には果たしてどれ程の価値があったのか、自分にはよく分からない。
常守朱を
――………愛してくれなくていい…憎んでくれたっていい。
要はただ…ただ俺だけを想って、生きて欲しいと思った。
佐々山光をあんなにボロボロにするに値するコトだったのだろうか。
それだけだ。
「時代遅れは酷いんじゃなぁい?ロマンチスト、って言ってあげなよ。」
「それで慰めになるのかしらね。
あんな貌をしてそんな台詞、吐いてたくせに。
アイツ等。」