#32 完璧な世界 後編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今の時代、未成年という括りはすでに半ば形骸化して久しい。
だが当人の自由とはいえどその若さで職業適性を受けるというのはまた随分と何と言うか、果敢な行為だと思う。
「……ところで、つまんない事聞いてもいいですか?」
「何だ。」
「眼鏡、ダテだったんですか?」
「え」と少々うろたえた宜野座さんに、後ろでつまらなそうに窓外を眺めていた光ちゃんが嬉々として身を起こすのがミラーに映る。
「自分の顔が嫌いでね。特に目元が。だがもう、どーでも良くなったんだ。今は。」
『どーでも、ですか。』
からかう様な声に宜野座さんが「ああ」と同じような種類の表情で振り向く。
「どーでも、だ。」
「…前より格好いいですよ、今の宜野座さん。」
「それは、もう止めた方がいい。」
「はい?」
「さん付けだよ。監視官が執行官に敬語を使ってちゃ、しまらないだろ。」
「『それは…』」
思わず顔を見合わせると、涼やかな笑い声が空間を弾んだ。
「お前達の流儀がどうであれ、後輩に示しがつかないぞ。生温い職場だと誤解させたら、後々苦労するのは新入りの方だ。」
「そういうものかな。」
「我が身を省みてどう思う?同じ苦労をさせたいか?」