#31 完璧な世界 前編
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世界を呼吸するように両腕を広げた槙島の髪が、風に踊る。
燃え立つような赤から荘厳な金に、そして優しい藍に変わっていく夜空。
浮かぶ月はやがて一杯に満ちて、銀粉みたいな光を降らせ始めるだろう。
背を見せたその向こうに横たわる光が無事な事は「気を失ってるだけだ」という声が届く前からどうしてか、分かっていた。
「何故だか、彼女を人殺しにはさせたくなくてね。」
「……概念と、観念とは、全く別のモノだ。」
響いてきた微かな笑い声の所以は全く、分からなかったけれど。
「なぁ、どうなんだ狡噛…。」
銃口を固定し、添えた人差し指に意思を、乗せる。
「君はこの後、僕の代わりをみつけられるのか?」
「……いいや。」
ゆっくりと撃鉄を起こす脳裏に去来するものは不思議と、何も無かった。
「もう二度とご免だね。」
ふと、槙島が笑ったのが気配で知れた。
全てを
この手で終わらせるこの瞬間をどんなにか、待ち侘びていた筈なのに。
「………」
だが何にせよ結末は
これで、俺のモノだ。