#31 完璧な世界 前編
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その手から零れ落ちた死神の顎の形を模したような銃を、蹴り飛ばす。
力を失ったその身体は細かったけれど今の自分には少々、重い。
それでも投げ出すなんて事は出来なくて膝をついた。
「……彼といい君といい、本当につれないな。」
横たわる佐々山を見ながら、苦笑する。
「知ってたんだな…最初から、全て?」
指先で触れた頬はひんやりと冷たく、滑らかだ。
「……最初から、僕を殺すつもりでこの国に。自分の体質に気づいた時かそれとも、気づかされたのか…。どちらにせよ今となってはさして興味もないが…だが後者だった場合、君等の神性はやはりそう大したものじゃなさそうだな。」
青い光を放つ執行銃に投げていた視線を戻し、息を吐く。
ひどく疲れていた。
けれど
「……確かに君が言うように、概念と観念とは全く…”別モノ”みたいだ。」
私達は、特別でもなんでもない。
ただ、生きているだけ――
巡らした頭に、長い影が見える。
そして遅れて響いてくる確かな、足音。
「帰りは独りだが、路がなくなるワケじゃない。」
この追いかけっこも、もうすぐ終わる。
永遠の休息がすぐそこで僕を、待っている。
「さよならだ、……光。」