#31 完璧な世界 前編
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信じられない程に整った顔が柔らかくそして
『………』
この上なく嬉しそうに、微笑む。
「…さぁ、約束だ…。」
血に染まったシャツをはためかせるその向こうではもう日が、沈みかけている。
今日が、終わろうとしている。
待ちかねるように一歩を踏み出した槙島の足が揺らぎ、膝が折れかける。
『…………好きよ。』
顔のすぐ横で風に吹かれる銀髪が、頬を撫でた。
接した身体の暖かさを感じながら細い肩の上で、口を開く。
『自分がとてもありきたりな人物だと教えてくれる。私達は、特別でもなんでもない。ただここで…上手く息をする術を知らないだけ。ただ、生きているだけなんだと。』
「ハハッ」とこの数日で何度か聞いた笑い声が、さらわれていった。
ヴンッと低い音で鳴いたドミネーターを掲げようとした腕が刹那、強い力で抑えられる。
「もっと早く、君と会いたかった。」
『………』
耳元で囁かれたその言葉はでも裏腹に、どこまでも穏やかで。
「こんなつまらない台詞を実際に言う日が来るとは思わなかったよ。でも、何故だろう。不思議と悪い気はしないな。」
『………そう。』
緩んだ拘束を合図ととって身を離そうとした次の
瞬間。