#31 完璧な世界 前編
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麦畑を染める光が、もうほとんど赤い。
今日は終わり
やがて明日が、始まるだろう。
「……っ――は……」
血の流れ続ける傷を押さえながら、体を引き摺るようにして前へ進む。
誰だって孤独だ。
誰だって虚ろだ。
もう、誰も他人を必要としない。
どんな才能もスペアがみつかる、どんな関係でも取替えが利く。
「う゛」
足がもつれ、かろうじて手をつく。
そんな世界に、飽きていた。
落ちていった汗の雫が、大地に吸い込まれていく。
「――っぐ」
膝を立てて起き上がり、前へ。
でも、どうしてかな。
――もしも
もしも誰にも殺されずに私のところへ来れたなら、答えてあげる。
僕が君以外の誰かに殺される光景は、どうしても
思い浮かばないんだ。