#31 完璧な世界 前編
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轟々と鳴る風に、目を細める。
「……――」
歯を食いしばって右手に力を込めて体をずらし、視界にタイヤを収める。
ここで
必ず…!
左手で引き金を絞り、息を止める。
反動と同時に上がる銃声。
「――!…ぅ…~ぐっ」
車両がコントロールを失ってぐらついた次の瞬間、脳みそまで揺すられるような遠心力が全身にかかる。
麦畑の中へとダイヴする車から更に宙へと、放り出される。
束の間ブラックアウトした意識にまず入り込んできたのは、波音のように涼やかなさざめき。
「…ん…あ……」
横倒しになったトラックのドアが開き、中から銀髪の男が出てくる。
そうしてまた
音も無くやってきた黒が鮮やかに、色で満ちる。
夕暮れを背負って立つ男のシャツに滲んでいるのは、目に痛いほどの――
「うぐっ」
頭を踏みつけられ、泥土の放つ匂いが鼻腔を満たした。
「……いい加減、僕達を侮辱するのは止めて欲しい。」