#31 完璧な世界 前編
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合わせた掌だけで拮抗させていた力を、抜く。
「…――っ!?」
刹那、バランスを崩して歪んだ端整な顔めがけて振るった刃がすんでのところで空を切り、狡噛が後退する。
が次の瞬間にはトップスピードで突っ込んでくるのを捌き、背負い投げを試みてくるのに逆らわず身体を流す。
「うあ゛っ」
肩関節を極めて体を密着させたまま、口を開く。
「お前は成長がないな、狡噛。」
無防備な腕めがけて突き下ろした銀がしかし、次の瞬間硬質な音をたてて弾かれる。
「!?」
指の動きだけでナイフを反転させたのだと理解するのとほぼ同時に強引に身を起こした狡噛に、上半身だけで払いのけられる。
すかさず突き出した刃がガードされた瞬間、視界を鮮血が横に迸る。
武器を捨てて退きながら視線を上げると自然、手が左胸に伸びた。
「…ッ…――…」
耳障りな呼吸音と、熱いような痛み。
ボタリと足元に落ちた赤ではなく真正面に立ち、こちらを真っ直ぐに見つめてくる男に目を、凝らした。
もしも――
仄碧い光を放つ銃口と剃刀の、刃と。
飛び込んでくる狡噛の境界の色をした瞳を、見つめ返した
その時。