#31 完璧な世界 前編
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「君だってそうだろう、狡噛慎也。」
スッと刃を指先で撫でた槙島が、唇を引き上げる。
「誰も君の正義を認めなかった。君の怒りを理解しなかった。」
こちらを見上げる眼窩に嵌め込まれたコインに映る、折れるように膝をつく、自分。
この身の全てを
「だから君は信頼にも友情にも背を向けて、たった一つ、自分に残された居場所さえかなぐり捨ててここまで来た。」
意思さえ黒く塗り潰す、激情。
「そんな君が、僕の孤独を哂うのか?」
「――ッ」
駆け出し、右手に握り締めたナイフを、振るう。
渾身の一撃を避けた槙島の右手が同じ様に閃くのを見て、左手首で止める。
「ふあ゛っ」
致命傷を与えるつもりで繰り出すその全てが、紙一重のところでかわされる。
どうしてだ。
組み合った槙島の琥珀色の瞳がまるで、獣のように爛々とした光を宿してこちらを見つめる。
こんなに
「だがね、僕はむしろ評価する…!」
こんなにも俺は
「孤独を恐れない者を…孤独を武器にしてきた君を…!」
どうしても俺は、コイツを殺したいんだ。