#30 血の褒賞
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「新しい監視官がやってきた時、最初は、甘そうなお孃ちゃん達だと思いました。」
油断ない足取りで前を行く背中を追いかけながら、言葉を手繰る。
「…こんな仕事は到底務まらないって。」
「そうだったかも」とその顔が、小さく笑った気配がした。
「でも、あの時の印象は完全に間違っていた。今ならそう断言できる。」
健やかに強く、しなやかに、柔く。
「貴女になら命を預けられます。常守さん。」
「…買い被り過ぎですよ。」
でも同じ女だからそれが、とてもギリギリのところで成り立っていることも、分かる。
「佐々山は、貴女を絶対に裏切らない。」
打たれたように足を止めて振り返ったその顔に思わず、微笑む。
「生きてるんでしょう?……だったら、連れ戻しましょう。必ず。」
みるみる感情を溢れさせていった瞳が、すんでのところで、背けられる。
その寸前、髪を耳にかける振りをして目じりの辺りを拭う仕草をしたように、見えた。
やっぱり
「……はい。」
可愛い人だと思う。
「…………六合塚さん。」
「はい。」
「ありがとう。」
佐々山、アンタと同じで。