#30 血の褒賞
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非常灯の鈍い光源だけを頼りに、無機的な通路を行く。
「厚生省で何かあったんですか?」
思いがけない問いに、前方の安全を確認していた目を背後に向ける。
「…そんな風に見えますか?」
僅かな明りの下でも変わらず美しい作り物めいた色の瞳が、こちらを見つめた。
そこに気遣いと優しさを垣間見るくらいには自分はこの人を、理解しているつもりだ。
「今の貴女は、誰よりも前向きなのに、誰よりも落ち込んでいる風に見えます。」
様々な出来事がまるで走馬灯のように、脳裏を過ぎっていく。
目を背けたくなる。
何もかも放り捨てて、逃げ出したくもなる。
だけど
「………立ち止まっていても何ひとつ解決しない…。」
私は
――朱ちゃん!
「今はただ進むしかない。どんなに小さくても、希望は在る。」
[私]を恥じたくない。
そういう上司の下でなら、俺はただの犬ではなく刑事として働けるかもしれない。
私は
「それを諦めない限り、私は最後まで、刑事のままでいられる。」
[私]のままでいたい。