#30 血の褒賞
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光が射し込むのに目線と共に意識して顎を上げ、一歩踏み出す。
「くそ…なんて広さだ。」
「北陸全域に配給する為の防御ウィルスを一括管理している工場ですからね。」
「これだけの規模の設備が完全無人化されたまま稼動してるなんてなぁ…。」
「図体が大きい獲物ほど狙いやすい…。鯨も殺すほどの毒針を使うとなれば、尚更。槙島らしい戦術ですよ。」
高所に吹く風の音だけが満たしていた空間に、着信音が響く。
端末を操作するが、相手の名は表示されない。
「…多分、狡噛さんです。」
「!」
「私達が着陸するのが見えたんでしょう。彼もすぐ近くにいます。……常守です。」
<思いの他早いお出ましだったな。>
間を空けずに返ってくる応答。
低くて良く通る、少し擦れたその声が私は、好きだった。
「公安局をなめないで下さい。貴方だけが槙島を追い詰められるわけじゃありません。」
<……ヤツはもう、施設内に入ってる。管巻がラボに残していった機材を使い、ウカノミタマの調整に取り掛かっている筈だ。あるいは、もう終わらせているかも。>
「あの男の思い通りにはさせません。」
そして
<だとしたら時間がない。ヤツが弄ったウカノミタマを撒き散らす前に、ここの施設そのものを停止させるしかない。>
貴方にも。