#03 飼育の作法
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「私、皆に賛成です。」
そう言った常守が、詰まったら負けだとでも言うかのように言葉を続ける。
「ここで犯罪を見逃すくらいなら、狡噛さんの計画を試してみたい。」
「君は…正気で言っているのか?」
本心から出た問いかけに、まだ幼さの残る顔の中で眉根が寄る。
「宜野座さんこそどうかしてます!征陸さんと何かあったんですか?」
数瞬の沈黙が、ややあってそれを作り出したものによって再び、破られる。
「わっ、私は、執行官とももっと上手くやれます!」
『朱ちゃん……』
それまで壁に背を預けて黙していた佐々山が、躊躇いがちにその名を呼んだ。
「なるほど…君は愚か者の道を進もうというわけか。」
眼鏡の位置を直し、その顔を見返す。
「君も監視官の端くれだ。猟犬共を上手く手懐けられると思うなら、やってみろ。」
「宜野座さん…」
「愚か者は愚か者らしく、何もかも経験で学んでみるがいい。それが理解への早道だ。」
『ちょっ…まあまあ二人とも、calm down, calm downですよぉ――てちょっと、朱ちゃん?』
くるりと踵を返した常守を呆気にとられたように見送った佐々山が、こちらを振り仰ぐ。
「……何だ。」
無駄に高そうなトレンチのベルトを外した目の端と口元が、緩む。
『進んで愚か者の道を行ってみるのもアリかなーなんて思う自称賢者はやっぱり、愚か者ですかね?』