#30 血の褒賞
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「ウカノミタマウィルスの調整ってのぁ、そう簡単に出来るモンなのかね。」
「作業工程はほぼ全自動の筈ですからね。機材さえ生きていれば。」
征陸と六合塚の声を後ろに聞きながら、階段を昇る。
乗員スペースのシートに着き、シートベルトとインカムを装着する。
公安局所有のティルトローター機。
目指す場所に到達するには、これが最速にして最上の方法だ。
「そもそも、アップデートの容易さがウカノミタマの利点ですし。」
「善玉ウィルスが本物の病源菌に化けるとはな。食料自給を守る鉄の壁かと思っていたら、実は諸刃の剣だったワケだ。出してくれ。」
コクピットの自動操縦ドローンが指示を受け、微細な振動が伝わってくる。
「………」
――何故、この仕事を選んだ。
まだそれ程経っていない筈なのに、とても、昔の事のように思える。
ふいに口をついて出た問い。
そこはホラ…
やっぱり妹としては?仇を討ちたいと思うじゃないですか。
今、もしもあの瞬間に戻れたなら
ふと窓外に目を向けた常守に習うと、夜明け前の街が視界に広がる。
仄かな曙光に浮かび上がるその不思議に薄碧い、景色。
自分は何かを、変える事が出来るだろうか。