#29 正義の在処
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「お…おい、検死に任せろ…。」
「それが狡噛さんの時間稼ぎです。」
被害者の喉首の傷に手を突っ込み、こじ開ける。
伝わってくる、肉の弾力。
新しく溢れ出た血液のたてる音に、理性とは違うところで怖気が奔る
でも。
「追いつこうと思ったら、今この場で……――!」
指先に触れた感触に息を呑み、そのまま引っ張り上げる。
日の光に照らされた血塗れのビニールのパックの中に見えた物を目にした瞬間覚えたのは間違いなく、高揚だった。
「洗浄。」
直ちに命令を実行した鑑識ドローンによって残渣と血が洗い流される。
逸る気持ちを抑えてメモリーカードを取り出し、リングに翳す。
「……音声データですね。」
私は
<元執行官の狡噛だ。このメッセージは、もう暫くしたらやってくるであろう公安局の刑事に向けて残す。>
「あいつ…!」
<被害者は元農学博士、管巻宣昭。ハイパーオーツの疫病対策であるウカノミタマウィルスの開発責任者。日本の食糧自給に関わる最大の功労者だとされていた。槙島聖護は、北陸の穀倉地帯を壊滅させる何らかのアイディアを管巻教授から引き出しそして殺した。死体は眼球を抉られ、指は全て第二関節で切断。何らかのセキュリティを突破するのに必要なのかもしれない。防犯設備がサイマティックスキャンではなく、まだ旧式の生体認証に頼っていた頃の古い施設…。恐らくは管巻の研究チームが使っていた出雲大学のラボが怪しい。現在はウカノミタマウィルスの管理センターに転用されている。>
必ず。
<そこが、槙島の標的と予想される。>