#29 正義の在処
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『シビュラシステム。』
少し先の道路脇に立って辺りを見回している槙島を見ながら、口を開く。
『聞こえてるんでしょう?アンタ達にデータを提供する上で、ひとつ条件があるわ。』
<伺いましょう。>
<刑事課一係は、目下のところ危機的状況にあります。狡噛慎也の暴走と、宜野座伸元の消耗、そして貴女の離脱により、チームは機能不全の兆しを見せ始めています。まもなく代わって指揮を執るのは常守朱、彼女になるでしょう。>
『…もしも槙島聖護が生きてアンタ達のところへ連れてこられたら、代わりに狡噛慎也の命も保証して。』
<それは、彼を殺さないと決めたという事ですか?>
『我々は現在についてほとんど考えない。たまに考える事があっても、それはただ未来を処理する為にそこから光を得ようとするに過ぎない。現在は決して我々の目的ではない。過去と現在は我々の手段であり、未来のみが目的である。……知ってる?』
こちらを振り向いた槙島が徐に踵を返し、歩き出す。
『彼の処刑指令を取り下げて。』
<それは、理論的に等価性の成立しない提案です。>
ドアを開けて車から降り、道路に降り立つ。
『ますます私に興味が出てきた?アンタ達の理論なんてどうでもいいの。狡噛さんが助からないなら、私は今からでも槙島を殺す。ただ返り討ちにあう可能性が大いにあるけど。どう?でもそれはそれで、なかなかドラマチックでなんというかすごく…人間的な展開ね。』
乾燥した空気と草の、香ばしいような匂いを吸い込みながら、くるりと銃杷を回転させる。
『それとも言いなりにならない私の事を始末するっていう手もあるわね。縢くんの時みたいに。』
ああ。
<了解しました。槙島聖護が無事確保された場合に限り、狡噛慎也には特例措置を講じましょう。>
確かこんな笑い方はするなって、言ってたね。