#03 飼育の作法
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「ふざけるな!!」
突如として響いた怒鳴り声に、びくりと肩が波打つ。
「またお得意の刑事の勘か?そいつはただの妄想だ、貴様のような潜在犯がただの社会の屑にすぎないという証拠だ!!」
あまりな口ぶりに驚いているのは朱ちゃんと自分のみで、後の皆…屑呼ばわりされた征陸さんまでもが平然としている。
「状況証拠に基づいた憶測で行動はできない。俺達の任務は、シビュラの判定した犯罪係数を基に社会の秩序を維持することだ。」
シビュラの正義を仰ぎ、動く。
ではもし目の前でお年寄りが若者にひったくりをされたとしたら、この人はどうするのだろう。
しかもさらに、そのお婆さん(と仮定)が若者に突き飛ばされた拍子に走ってきた車(明らかに法定速度オーバー)に撥ねられたとしたら?
などと脳内で一悲劇例を勝手に繰り広げていると、斜向かいの狡噛さんが口を開いた。
「一年に三人も死人が出るような秩序をか?」
横から一突きするような切り替えしに、眼鏡の奥の目が尖る。
「ギノ、俺にやらせろ。金原が黒かどうなのかすぐにでも確証を掴んで「黙れ!!」
「宜野座さん、ちょっと…」
ややあって立ち上がった宜野座さんに合わせて目線を上げると、その横で椅子を下げた朱ちゃんと目が合う。
息を吐いて同じように椅子を引くと、後ろから含み笑う声。
「たぁ~いへんだねぇ。」
返さず立ち上がり、すでにドアの向こうへと消えようとしている二人を追う。
ここまで相互理解が成立しない、その努力さえしない職場が、他にあるだろうか。