#29 正義の在処
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食いしばった歯が、鳴る。
だってそんなこと、したくない。
だけどでも――
<そう。>
零れた涙が、頬を伝う。
――…それは、仕方ないと思います
正義の執行も、秩序の維持も、私はどっちも大切だと思います。
あの時自分は、そう言ったのだ。
悔しくないのかと、ゆきを殺されて、それで良いのかと問うあの人に向かって、私は。
<頷こうとして躊躇してしまう。貴女が思い描く理想は、現時点で達成されている社会秩序を否定出来る程明瞭で、確固たるものではない。>
だって生まれてきた時から、信じてきたのだ。
私だけじゃない、皆。
それが最善だと――これが、世界だと。
<貴女は、現在の平和な社会を、市民の幸福と秩序による安息を、何より重要なものとして認識している。故に、その礎となっているシビュラシステムをいかに憎悪し、否定しようとも、拒絶する事は出来ない。>
「知ったような口を利かないで…!」
<サイマティックスキャンによる反応を解析すれば、貴女の思考は全て明確に把握出来ます。虚勢を捨て、腹を割って話し合いましょう。この会見の目的は、貴女との協力関係を構築する事です。>
「…協力…?」
<刑事課一係は、目下のところ危機的状況にあります。狡噛慎也の暴走と、宜野座伸元の消耗、佐々山光の離脱により、チームは機能不全の兆しを見せ始めている。新たな統率者が捜査の主導権を握らない限り、槙島聖護の追跡は成果を望めません。>