#03 飼育の作法
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
提示された職員データの解析結果を一瞥し、たてた両腕に顔を伏せた。
「あの主任の言ってた通りだと常に一人だけ色相チェックが悪化してる奴がいて、そいつは例外なく転属処分を受けているようだ。」
途切れた言葉に、眉根が寄る。
「ところがここ一年、配置換えはない。」
「死亡事件が起こるようになったのも、一年前からですよね?」
「この一年間、ずっと同じ職員がいじめの対象になってるんだ。データで一目瞭然だな。他はクリアカラーなのにサイコパスを濁らせてる奴が、一人だけ。」
征陸が、個人データを拡大する。
「ああっ、金原祐治!」
『色相判定イエローグリーン……』
「なるほどな、それで黄緑野郎か…。ここでは色相判定の結果が全員に公開されるらしいな。」
「どうかしてる…」
「でもコイツ、最新の計測値だと色相が好転してるよぉ?」
『むしろ濁りがピークだったのは…塩山の死の、前日……』
事実を口にした佐々山に、常守が「そんな」と笑い混じりで顔を向ける。
「おかしいよ。人を殺しておいてサイコパスがむしろ好転するなんて…」
「金原以外の職員は、金原を痛めつけることでストレスを解消してるんだ。何も不思議なことじゃない。」
眉を下げて聞く常守に、ただ征陸を見つめる佐々山。
「サイマティックスキャンなんてなかった時代には、別段珍しい話じゃなかったんだぜ?」
「こういうの」と哂う様に、奥歯を噛んだ。