#29 正義の在処
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<以上が、シビュラシステムすなわち、我々についての真相です。>
真っ白い空間。
広大なスペースに整然と並ぶ、夥しい数の”脳”。
半透明のケースにパッケージングされたそれが見ている間にもそこかしこでクレーンで吊られ、どこか別の指定位置へと移動していく。
ドミネーターを握る手が、全身が、震え出す。
だがそれは驚愕と恐怖とから来るものじゃない。
そのふたつさえ上回る強いこの感情は、そんなんじゃない。
「光ちゃんは…縢くんはここで死んだの…?貴方達が殺したの?」
<…縢秀星が、生涯を通じて社会に果たす貢献と、シビュラシステムの機密漏洩の比較検討し、後者の方がより重大であると判断しました。>
「ふざけないでよ!!」
社会に果たす貢献?
振り被った頭を、爆発的な怒りが満たす。
「何が重大だってのよ!?」
比較検討?
縢くん――
誰かの命を測る天秤なんて、あっていい筈がない。
「槙島を裁けなかった、役立たずのくせにッ」
木霊した叫びが、まるで嘘みたいに
<その通り。シビュラシステムがサイコ=パスを解析出来ない免罪体質者の発生は、確率的に不可避です。いかに緻密で堅牢なシステムを構築しようと、必ず、それを逸脱するイレギュラーは一定数で出現します。>
空気に吸い込まれていく。