#29 正義の在処
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市川市の高級住宅街。
土足のまま侵入した室内を慎重に進みながら、ペンライトで照らす。
強い光に浮き出すように姿を現したのは、一人の老人の死体。
喉笛はざっくりと縦に切り裂かれ、奥の肉が見えている。
更に眼球のあった筈の場所は真っ黒な空洞に変わり、指は全て切断されている。
拘束と、恐らくは拷問の跡。
「………」
防犯システムが機能していない時点でそれはすでに明らかだったから、凄惨を極めるその有様はざっと眺めるに留め、リビングを出る。
吐き気をもよおすような金臭さがまだ鼻に、残っている。
拳銃を構えたまま寝室、バスルームそして書斎へ。
綺麗に片付けられた一室の中、机の上のパソコンに光が灯っている。
デスクトップに表示されているのは、一面の麦畑。
ふと強く香った淹れたての紅茶のような匂い。
アールグレイだと唐突にそして、今更。
予感は、していた。
ノナタワーでその姿を見失った、あの日から。
――貴方に貴方の”正義”があるように私にも、私の”正義”がある。
そういう事なんです
「……光……」
だけどそれでも、自分は。