#28 透明な影
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『――…』
微睡みから醒め、膝の間に埋めていた顔を上げると辺りはまだ、宵闇に包まれていた。
知らず向いた東の空から渡ってきた風が髪を撫でて、吹き過ぎていく。
暫く眺めていてみるが、まだまだ朝の気配はない。
戻した目に映る、火の向こうの秀麗な顔を、見つめる。
寝ているのか起きているのかは定かではないが、どちらにせよ大して興味は湧かなかった。
――…光…?
膝を抱え、再び顔を埋めた時耳に届く、聞き慣れた駆動音。
義務のように携え続けていた腰のドミネーターを引き抜き、眼前に掲げる。
藤間を殺したあの日から沈黙を守っていたそれに青く、光が灯っている。
指先に伝わる冷たく、重い感触。
<佐々山光監視官。>
投げ捨てたくなる衝動と
『………』
叫びたくなるような情動。
だけどどうして。
<我々は>
あの日から止まない耳鳴りが
<貴女との対話を、希望します。>
止んだの。
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