#28 透明な影
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ジッパーを上まで締め、バイクに跨る。
濃い空気に混じって届く微かな、朝の匂い。
「槙島聖護を殺そうとするお前の計画に、俺ぁ意図的に加担した。」
その方を向いていた先生が、まるで悪戯を仕掛ける子どものように、笑った。
「その自覚がある以上、次に抜き打ち検診を喰らったら、それが年貢の納め時だな。」
「本当に、ご迷惑をおかけしました。」
「気にするな。社会に参加せずに引きこもっていたバチがあたっただけさ。」
「先生…」
「お前に手を貸した事で、俺ぁ俺の役目を果たせたと思ってる。だが、それでも結局汚れ仕事は…狡噛。お前一人に押し付けてしまう事になるんだ。」
「それこそ、気にしないで下さい。何故だか、俺以外の誰かがアイツを殺すってのは想像もつかないんですよ。」
そう。
誰にもこの役目を渡す、事など。
「なぁ狡噛。」
目が合った瞬間その厳しい顔が、緩む。
この人がこんな顔を見せるのはただ一人の人間が関わる時だけだともう、分かっていたから。
その気遣いに対する感謝も
「……いや、いい。」
謝罪さえ口には、出来なかった。