#03 飼育の作法
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「はぁ?」
「よくあることなんですよ。」
カウンターの方を眺める主任を見ながら、味も見た目もそれなりなケーキにフォークを刺す。
「なにぶん娯楽の少ない環境ですからねえ、一人ああいう立場の人間が必要なんですよ。」
「っでもあの人は…」
食堂内で箸を動かす職員には同じような顔どころか、穏やかな表情を浮かべる者まで。
「問題になるほどサイコパスが濁れば即座に配置換えを行います。言ったでしょう、メンタル管理には十分配慮していると。」
赤い眼を光らせるスキャナを見やり、まだ熱いコーヒーに口をつける。
立ち上がった男性の腰が再び蹴られ、前につんのめる。
無様に転がったその下で潰れる、トレーの中身。
「彼は彼で役に立っている。ああいう役回りが相応しいからこそ、シビュラにここの職場を勧められたんじゃないですかね……何か?」
目を瞬いてこちらを見下ろすその、顔。
『邪魔なので、退いて下さい。』
「は…『Go away!!』
なんて醜い、なんて鈍重、なんて愚か。
カツカツと必要以上に足音を立てて進むと、取り巻いていた人垣が呆気なく割れた。
『大丈夫ですか?』
「す、すみません……」
差し伸べた手にかかる重さは正直かなりだったが、頑張って引き起こす。
寄るべき根拠は自身で作り、だからこそ守られる、べきなのだ。