#28 透明な影
夢小説設定
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「……これは何なんですか?」
そう尋ねながら、モニタに並んでいる文字列を追いかける。
「古いタイプの匿名掲示板だよ」と笑った先生が、その中の[125:シビュラシステムの矛盾について]というスレッドをクリックする。
「海外のサーバーを幾つも経由して、運営されている。」
「海外のサーバー!?」
「あるところにゃああるんだよ。だがら、シビュラシステムにも目を付けられていない。ココを使っているのは、元大学教授やジャーナリスト、評論家、文学者、シビュラシステムによって用済みになったとされた人々。今でもこう…鬱憤が溜まると書き込むワケさ。シビュラなんてロクなモンじゃない。ここがこんなに問題だってね。不毛かもしれないが、こんな場所がないよりはいいだろう。」
そう言って少し笑った先生が、顔を上げる。
「そうだ光とも、ここで会ったんだ。」
不意打ちに思わず目を見張ってしまい後悔するが、こちらを見る眼差しに他意はない。
「俺の立てるスレッドというスレッドに顔を出してな、毎回部屋を派手に騒がせてくれたよ。まだ10代の女の子だって知った時は、さすがに驚いた。」
「……雑賀先生は、いつ、その…」
「初めて会ったのは、いつだったかな。こっちに一時帰国してきた時だったから…15の時か。ちょうど大学進学が決まった頃だな。」
何も言えずにただどうにか笑みを形作り、「そうですか」と返す。
「次に会った時にはもう立派な女だった。だが一緒に暮らしてみれば、外見だけでね。中身はまだまだ…」
マウスを操作して画面をスクロールしていくその横顔が、柔らかく解れる。
「父親面するつもりはないんだが…どうもね。忘れてくれ。少し恥ずかしくなった。」
「……いえ。」