#28 透明な影
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苦しそうに顔を歪めた伸元はそれでも、目を逸らそうとはしない。
「他にもっと賢い生き方があると分かっていても、そこに背を向けたら、自分の積み上げてきた全てが嘘になる。そういう瞬間があるんだよ。」
そしてそれは
「それが、貴様等執行官の意地だと?」
眼差しを強くして問うてくるのを、見返す。
お前にだって
「執行官だからじゃない。コイツは男の意地ってヤツだ。」
きっと。
「……だったら俺には俺の意地がある。」
投げやりにエレベーターのボタンを押し込んだ後姿は、意固地なまでに頑なで。
「狡噛のバカは必ずこの手で止める。」
それは多分、去り往く彼の友人の手の中にあったそれと比するにはあまりにも。
でも、それでも。
「誰が何と言おうとだ。」
思うようにやればいいと思う。
好きなように――心の、示すままに。
閉じていく扉に隠されていく、広い背中に微笑む。
大きくなった。
そしてこれからもっと、もっと。