#28 透明な影
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「で?」
「どうだった」と局長執務室を出るなり問われ、眉根を寄せる。
「我々の任務に変更はない。狡噛と槙島聖護の追跡は、引き続き我々一係が担当する。」
「~無茶だ。」
呻くような声を上げた征陸に関せずエレベーターに乗り込む。
「お嬢ちゃんもそれにお前も、もうこれ以上あの二人に関わるべきじゃない。」
「一係でなきゃ駄目なんだ!俺達なら、狡噛を撃つ前に投降を呼びかける事だって…」
「……なぁ、伸元。いつからそんなに甘くなった。例えコウが投降したとしても、アイツは施設に送り込まれて殺処分だろう。狡噛慎也を追う以上、俺達はアイツと命のやり取りをするしかない。だったらいっそ三係に任せて「他人事で済ませって言うのか!!」
くたびれた襟首を掴み上げ、壁に押し付ける。
「どうせアンタも察した上で放っておいたんだろう!狡噛が出て行くのを止めもせず、指を銜えて見送ったんだろうが!!アイツに槙島を殺させる為に!!」
否定も言い訳もせずただ黙ってこちらを見返すのに堪らなくなり、手を下ろす。
「……れっきとした背任行為…いや、犯罪行為だぞ。口先でどう言いつくろおうと、ドミネーターだけは誤魔化せない。今この場で犯罪係数を測ってやろうか?――くそっ」
拳に感じた痛みが、腕を這う。
「どいつもこいつも、俺を置き去りにして勝手に向こう側に行きやがって…!アンタも狡噛も、そんなに正義の味方になりたいのか?」
頭に、胸に、全身に――伝う。
「正義じゃない、執念だ。」
真っ直ぐにこちらを見て、そう言い切った征陸の表情が僅かに和らぐ。
この感覚がなんなのか多分、分かったような気がした。