#28 透明な影
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そっと触れた肩が小刻みに震えだしたのをみて、引き寄せる。
「……私は、間違えたんでしょうか。」
モニタに映し出されている、よく整理された部屋がその頭越しに、見える。
真っ白なシーツのかかったベッドに、様々な化粧道具で飾り立てられた鏡台。
その前の、完全にミスマッチに無機的で機能的な、回転椅子。
変わり果てた兄の姿を見つめながら、この部屋でただ、独りで。
鉄格子で区切られた街から降る灯りに照らされて一体毎夜、どんな眠りに堕ちて
「なんにも…!なにも…分からないまま……私…!」
どんな夢から醒めてまた、射す明かりを。
すがるように自身の手を組んで額にあててこんな風に
「…ッ」
貴女を想って涙を流してくれる誰かがいた事を、貴女は知っていたかしら。
ひたすらの強さを以って守っていたそれが多分、正反対の意味を持つ事を知っていた、貴方は。
「……私は…間違えたんでしょうか……?」
どうして
「そうかもしれない。でもそれは、”何か”よ。何もかもじゃない。」
微かな声を漏らして嗚咽する小さな背を、胸に抱きこむ。
「……光ちゃん……」
貴方達兄妹はそんなにも優しく誰かを想いながら
こんなにも残酷に人を、孤独にさせてしまうの。