#28 透明な影
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「もう全員に連絡がいったと思うが、狡噛が逃亡した。」
席につくなりそう告げた宜野座さんの声を背中で聞きながら、視線を落とす。
「疑問の余地は一切ない。」
「はい。」
「ヤツは槙島を追うだろう。我々も追いかける。逃亡執行官と遭遇した場合は、速やかに処分しろ。」
「槙島は生け捕り、狡噛さんは即時処分。」
分かってはいても、口にせずにはいられない。
「…そうだ。」
「狡噛のコトを考えるのは、今は止めないか。槙島を追い詰めれば自然に再会出来るだろう。」
「槙島はどこにいますかね?」
六合塚さんの言を聞きながら、今しがた後にしてきた部屋を思い出す。
錠で閉じられ、頑健な鉄格子で覆われた窓のある、一人の女の子の、部屋を。
「ヤツの顔は割れているが、暴動の余波で監視システムの何割かはまだ調整中だ。完全復旧までは、後5日…。その間、フェイス・レコグニションによる捜査は期待出来ない。」
「槙島はその間に行方をくらまし、高飛びの算段をするのでは?」
「いいえ。」
今も貴女はきっとどこか絶望の中で
独り
「必ず仕掛けてきます。あの男は、追い詰められて諦めるようなタイプじゃない。最後の最期まで、この世界を試さずにはいられない。システムに守られたこの社会に、剥きだしの人間性を突きつけてくる。そのつもりで、狡噛さんにも挑発する電話をかけたんです…わざわざ、光ちゃんのデバイスを使って…槙島聖護は。」
絶望と、対峙を。