#28 透明な影
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バイザー越しに射し込んだ光に反射的に目を細めながらも、バイクを進ませる。
無駄に広い駐車スペースの片隅にバイクを止めてエンジンを切り、メットを脱ぐ。
「…雑賀先生…。」
「とにかく入れ。」
短い言葉に口元を緩める間にも、その背中が玄関へと消えていく。
それを追いかけた視線に留まる、過去の風景。
肩先で揺れる髪の隙間から覗く、プラチナ。
色素の薄い瞳が微かな笑みを称えて、自分を見る。
もしも
――普通の会社勤めの先輩後輩とかだったら、どうなってたんでしょうね
もしも別の場所で、違う出会い方をしていたら。
「んん?…おいおい…」
「?」
「銃まで持ってるのか?」
「分かりますか?」
「古臭いリボルバーで、あってる?」
「まるで超能力だ。」
「いつも言ってるだろう。観察力と論理的思考だよ、狡噛。」
思わず小さく笑い、靴を脱いで上がりこむ。
室内を泳ぐ風に知らず淡い香りを、探した。