#28 透明な影
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「色相が危険域にあります。」
シックな応接間を思わせる室内に、薪の爆ぜる音が微かに響く。
「犯罪係数はまだ変動値ですが、更に急激に悪化する可能性もある。これ以上色相を濁らせたまま放置すれば最悪の場合…潜在犯認定も有りえます。」
久し振りに、笑った。
恐らく乾いてはいても、そこにある種の確かなおかしさが含まれているのに気づいたのだろうカウンセラーが、控え目に驚きを示す。
「…いえね。」
そう。
「相棒が昔、今と同じ状況になったことを思い出しまして。」
どんな形であれ自分は、まだ
「その相棒さんは、どうなりましたか?」
「相棒ではなくなった。…今は部下なんですよ。皮肉なものです。ああなるまいと保身に徹してきたと言うのに……その結果がこれでは。全く。」
「すぐに集中セラピーをセッティングします。職場の方にはこちらから連絡を「待って下さい。」
「今はまだ困る。」
「宜野座さん」と幾分感情のこもった声に、席を立つ。
「先生。やり過ごしてみせますよ。」
「こちらとしては、結果に責任は持てませんよ?」
「今の同僚…今年採用されたばかりの子達なんですが、彼女達を見てると、希望が湧いてくるんですよ。心の持ちようでどうにかなるって。」
笑うことが出来る。