#27 水に書いた約束
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「ああー、ヘルメットねぇ。」
ドアから入ってきたその姿に目をやり、持っていたグラスを置く。
「その手があったか」と一人頷き、用意しておいたもう一つに氷を入れて瓶に手を伸ばす。
「退院祝いだ。まぁ、呑めよ。」
無言で向かいのソファに腰掛けるのに覚えた既視感を口にする事は、しない。
「お前の集めた槙島の資料、見せてもらってるぜ?一見とっ散らかってるようでいて、きっちり整理がついてる。いざとなれば、肝心な部分だけいつでも持ち出せる構えだな。」
落ちた沈黙の中で氷が、回って小さく、清涼な音をたてる。
「何故そこまでヤツにこだわる。お前が許せないのは”悪”か、それとも槙島自身か?」
「どっちも違うよ、とっつあん。」
琥珀色の液体を一口に飲み込んだ切れ長の目が、伏せられる。
「今ここで諦めても、いずれ俺は槙島聖護を見逃した自分を許せなくなる。………そんなのはまっぴらだ。」
訴えるような、すがるような色に映る、脆弱な意思。
今あの娘程の強さでもって世界を見る事の出来る人間は、このチームにはいない。
けれどだからこそそこに、見出す事が出来る。
「お前らしい答えだな、コウ。」
愛しさをそして
背広のポケットを探り、古典的な鍵と認めておいたメモを取り出す。
「警視庁時代の思い出だ。いざという時に備えて、セーフハウスを用意していたことがある。何かの役に立つかもしれん。」
「…とっつあん…」
青臭い言い方をするならば、希望を。