#27 水に書いた約束
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「……あ……」
開いた目に映った天井が、医務室のそれだとすぐに分かった。
点滴用のパックの毒々しい色から視線を動かすと今度は、傍らの椅子の上で座ったまま眠っている常守が映る。
不安定な姿勢で寝息をたてるその顔には疲労の色があっても、健やかで邪気がない。
「………」
それに比べて後ろ暗い自分の中にはこの期に、及んでも。
顔を落として組んだ手を見つめていると、正面のドアが開いて志恩が入ってくる。
「朱ちゃ……」
手をあげてそれを遮った自分を見たその顔に浮かんだ表情には、気づかない振りを、させてもらう。
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「朱ちゃんに感謝しなさいよぉ?中枢神経避けて、足に当ててくれたんだから。」
「…もうドミネーターの扱いも慣れたモンか。」
ラボの監視モニタに映し出されるその姿を見上げながら、ポケットに手を突っ込む。
「なんかさーぁ?初々しい新人がどーんどんタフになっちゃうのって、頼もしいよーな寂しいよーな?複雑なモンね。」
爪に色を付けながら言った志恩の最後の言葉の響きが、少しだけ、苦い。
「アイツはこれから、もっともっとタフになるさ。……一個質問。」
「はーい、なんでしょ。」
強化ガラスの向こう、実験・分析室の作業台の上で解析ドローンが忙しく働いている。
「あのヘルメット、まだ使えるのか?」