#27 水に書いた約束
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「………」
エレベーター内を支配する沈黙に隣を盗み見るが、そこに何をみつける事も出来ず。
そうこうしている内に扉が開き、地下駐車場に辿り着いてしまった。
「宜野座くんにしては、また随分と思い切った手を考えたわね。」
そう言って涼やかな目元を少しだけ和ませたのは、二係の青柳監視官――たまに光ちゃんと食堂や廊下で話しているのを見かけた事がある。
「申し訳ない。危ない綱渡りなのに、片棒を担がせてしまって…。」
「いいわよ。そっちの縢くんの消え方が胡散臭いってのは私も同意見それに……光のバカが一体どこに行ったのかも?相当気になるしね。槙島聖護も、放っておけない。」
淡い自嘲のようなものを浮かべてみせた青柳さんとの間で、宜野座さんが振り返る。
「現在、刑事課全体で執行官に二人の欠員が出ている。この状況で、お前にラボで油を売らせておくわけにはいかない。そこでだ、二係の青柳監視官と相談し、一時的な執行官の交換に応じてもらった。狡噛は当面、二係で佐々山光、縢秀星の捜索を手伝え。代わりに我々も、二係から人員を一人借り受ける。」
「光と縢くんの件、これだけ手掛かりが少ないと、捜査が迷走するのも仕方ないわ。狡噛くん?くれぐれも余計なマネはしないでね?」
「私の目につく範囲では」と声を落として付け加えたその顔に向けていた視線を、狡噛さんに向ける。
同じ様に呆気にとられていたその顔つきが、僅かに解れる。
「…承知してます。」
そう言って、踵を返した二係チームを追って歩き出すのを、見送る。
同じ様にその光景を見ている宜野座さんを見て知らず、さっきの狡噛さんと同じくらいの程度でもって表情が崩れるのが分かった。
「………。」
護送車の扉が開いていくのを眺めていたその背中が再び、歩行を開始しようとした、時。
横手から、赤い光が、溢れ出した。