#27 水に書いた約束
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「しかしまァ…局長は俺達に犬のようにボール遊びでもやらせてるつもりか?」
征陸を残して皆出て行った大部屋はなんだか、心なしかさっきよりも呼吸がしやすい。
「………」
椅子の背を引き、腰掛ける。
「なぁ、どうすれば良かったんだ?こういう時…何が正解なんだ?」
「正解はない。あるのは妥協だけだ。」
にべも無い返答に眼鏡を外し、視線を落とす。
「なァ、伸元。」
「…なんだ。」
「身を守れ。」
「え?」
「さっきも言った。コイツはご主人様と犬のボール遊びだ。逆らえば折檻されるだけ…。だったら身の置き所を変えるんだよ。犬でもご主人様でもない、第三の立場に。」
「第、三の…?」
視線を上げると、その先で、自身とよく似た顔が微かに緩む。
「ボールだよ。ただ投げられて、弾んで転がるだけのボールに成りきる。一見無様に見えるかもしれないが、実は一番傷つかないし疲れない。それが賢い立ち回りってモンだ。言っちゃ悪いが、この一件はお前の手に余る。下手に動いて詰め腹を切らされるよりも、ただ低い方を目指して転がっていくだけの、役立たずに徹する方がいい。」
「……また、随分とひどいアドバイスがあったもんだ。」
この男にしてはと、苦笑する。