#03 飼育の作法
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「今頃伸元は、ここの主任相手に腹芸の真っ最中だろうさ。」
顔を上げ、「ラッキーだったな、譲ちゃん」とおかしそうに笑う征陸さんに首を傾げる。
「どういうことですか?」
「朱ちゃんも資料見たっしょお?ここってば経済省管轄の官営なんよ。」
わけが分からず目を瞬いたその顔にも、同じような笑み。
「お役所はナワバリの利益を守ろうとするからね。余計なちょっかい出されて工場の生産効率落としたくはないよねぇ。」
「人の命が失われたのに……」
訳はなるほど分かったが、解りたくはない。
「だからこそ向こうは一刻も早く事故死で決着をつけたいんだ。」
「でも実際、ここのスキャナは危険人物を検知してないんですよね?」
「さて、どうだかな。」
笑みの名残を残して上げられた視線の後を追うと、早速赤眼と目が合う。
「据え置きのスキャナで計測できるのは、せいぜいが色相判定によるストレス傾向ぐらいなもんだ。サイマティックスキャンのデータを元に精神構造を割り出し、職業適性やら犯罪係数まで診断するとなればシビュラシステムによる解析が必要になる。」
研修で知識として学んだことをまだ、これまでの自分の日常的感覚と照らし合わせることが、できていない自覚は、ある。
「そして俺達のドミネーターはシビュラが常時抱えている演算待ちのタスク全てに優先して割り込み処理を要請できる。だから銃口を向けた途端タイムラグなしで相手の心を丸裸にできるのさ……ところが」
振り下ろされた拳によって、乱暴に運搬器が開けられる。
「抜いてみな。」
顎で促され、手を伸ばす。
<ユーザー認証。常守朱監視官。使用許諾確認――通信エラー。システムとのリンクを構築できません。>
今日はまだまだ、長そうだ。