#27 水に書いた約束
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「狡噛さん!」
駆け寄って隣に並び、言葉を探す。
だけど一体
「全てが茶番だ。何もかも。……泉宮寺豊久の事件。あの時ギノが上にあげた報告書を見た。こっそりと。」
何を、どう。
「…またそんな事を…」
「ドミネーターが槙島を無視した件は、影も形も無かったよ。あの文面じゃ、削らされたってのが実際のところだろうな。」
「………」
ゆきの死。
ドミネーターが認めなかった、その罪。
だけど
「シビュラで裁けない人間がいるという事実そのものを、上層部は潰しにかかってる。」
「…それは、仕方ないと思います。」
消え入りそうに揺れた自分の声に、狡噛さんの歩みが止まる。
「悔しくないのか。」
「悔しいです…でも…この間の暴動で改めて思い知りました。」
柔らかな胸と優しい香りにすがって流した涙の熱を私はまだ、忘れてはいない。
だけど
「正義の執行も、秩序の維持も、私はどっちも大切だと思います。」
それでも。