#27 水に書いた約束
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「何を根拠に…」
「ヤツが俺にかけてきた電話は聞いただろう。シビュラシステムの正体…アイツはそう言っていた。槙島は俺達でさえ知らない内幕まで辿り着いていたんだ。」
「ただのブラフだ。犯罪者の言葉を真に受けてどうする。」
吸い込んだ煙が、苦い。
「誰か…シビュラシステムさえ意のままに操っている何者かと、槙島は交渉したんだ。ソイツは結局槙島に出し抜かれ、それで怒るどころか益々ヤツに執着するようになった。」
「シビュラは、あらゆる機関から独立不干渉を保証されたシステムだ。そんな権限は誰も与えられていない。」
「それが事実なのかどうか、恐らく槙島は知っている。身柄の運搬に護送車ではなく航空機…しかも同乗していたのはドローンのみ。何もかもが異常だ。そもそも現場から運び出された遺体は誰だ。記録からは消去されているが、俺達はハッキリ見たぞ。」
それに
「それに、ヤツが俺との通話に使ったのは光のデバイスだ。履歴からまだヤツが機内にいた時点で寄越した通信だと分かる。任意かもしくはそうでないかはさておきアイツはどこへ消えた?」
監視官デバイスは、生体認証・反応が無ければ起動しない。
という事はつまり――
でも、そうだとしたなら何故。
全く定まらない思考が、更に輪を掛けて外れ始める。
「誰だって納得しちゃいないよ、コウ。」
疲れたように椅子に腰を下ろしたとっつあんが目を閉じ、深く息を吸って、吐く。
「機密区分だ…監視官だって答えは知るまい。お前は、問い質す相手を間違えてる。それに局長は、ヤツの逃亡に厚生省内部から何らかの手引きがあったと推測しているんだろう?光ちゃんの事が心配なのは俺だって同じだが……滅多な事は口にするな。」
「…それもそうか。」
指先から落ちた煙草が低く、鳴いた。