#27 水に書いた約束
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「槙島聖護が、逃亡に至った経緯をご説明願います。」
狭い空間内に響いた自分の声にだが、窓外を眺める局長は顔を向ける気配すら見せない。
「厚生省内部から何らかの手引きがあった可能性が極めて高い…。そうでもなければ逃亡など不可能だからね。真相は槙島自身の口からじかに聞き出すしか他にない。よって再度槙島の身柄を確保するにあたっては、その命を脅かさない事に最優先の配慮をしてもらう。改めて、君達一係に任せよう。」
これだけの事をやった犯罪者の身の安全を第一にしろと言うのか。
いやそもそも――
「一体どういう事なんですか?」
確保までの散々な道のりを知らないわけじゃないだろうに。
「納得のいく説明をして下さい。」
「…宜野座君。」
「はい。」
「縢執行官の逃亡を許したのみならず、その捜査すら行き詰まっている状況だ。そこに槙島再逮捕という優先事項が割り込んだ事で、君は自らの失態をうやむやにする絶好のチャンスを得た筈だ。」
物分りの悪い子供を嘆くような表情でそう告げるのに、知らず眉根が寄る。
「これは一係への私なりの評価と助け舟…。その辺の親心を、察してもらいたいものだね。」
「しかし…!「それと」
遮るように声を被せた局長が再びその視線を窓外へと投げる。
「執行官の狡噛慎也。あの男は今回の任務から外し、厳重な監視下に置くように。」
「どういう事です…。」
「言った筈だよ。槙島聖護の身の安全に最優先の配慮をしろと。」