#26 鉄の腸
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
嗅ぎ慣れた煙草の匂いに、ふと混じった香りを追いかけて、横向く。
「…光…?」
白い背中に伸ばした指先が届く前に、ソファに腰掛けていたその顔が肩越しに振り返る。
『―――』
何と言ったのか分からなくてひとつ瞬くと大きな瞳がふっと細くなり、薄い唇が柔らかな弧を描いた。
そのまま覆いかぶさってくるのを腕を広げて迎え入れ、滑らかな首筋に顔を埋めた時。
「――……」
こんな時になんて夢をみているのだろうか。
いや、こんな時だからか。
ため息を吐いて読みかけの本の隣のコーヒーを手に取り、口に運ぶ。
カップの縁に唇をつけかけた瞬間隣に感じた気配に、息を呑む。
「――ッ!?」
飛び退いて後ろ手をつき、激しく上下する肩をそのままに暫し呆然とする。
鳴り響くコール音にややあって気づき、眺めた画面に表示された名に、再び目を見開いた。
「ひか<夜分失礼する。狡噛慎也の番号で間違いなかったかな?>
「!?」
<今日、シビュラシステムの正体を知ったよ。>
先程幻視した男の声が暗い室内に、流れていく。
<あれは君が命懸けで守る程、価値のある物ではない。それだけは伝えておきたくてね…。では、いずれまた。>