#26 鉄の腸
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
藤間の上に馬乗りになった佐々山が乾いた声で囁き、一気に破壊された左脚が無残な音をたてる。
続いて、右脚。
「さっきの厚生省に向かう道すがらという言葉…アレで移動中だと仄めかしてしまった。ここは公安局の中ではない。だから僕は……僕等は逃げられると判断した。」
「何故だ…君なら理解出来た筈だ…この全能の愉悦を……世界を統べる快感を…!」
頬に落ちた透明な雫を意に介することなく叫んだ藤間に、処女雪を思わせる程に白くなった拳が、震えた。
「さながら神の如くかね?それはそれで良い気分になれるのかもしれないが、生憎審判やレフェリーは趣味じゃないんだ。そんな立場では、試合を純粋に楽しめないからね。」
顔に飛んだ得体の知れない液体を手の甲で拭ったその肩を掴み、半ば力ずくで退かす。
「――う、ぐっ」
反対側の壁に力任せに投げつけた禾生の皮を被った藤間が尚もドミネーターへと這いよる。
「僕はね、この人生というゲームを心底愛しているんだよ。だからどこまでもプレイヤーとして参加し続けたい…!」
哀れとしか言いようのない表情でこちらを見上げる藤間に向かって、拾い上げた装置を打ち下ろす。
ぐしゃりと湿った音が響き、知らず口元が緩む。
何度も繰り返す内望む現象が見られ、満足して倒れ伏す背中に乗りかかる。
「や…め、ロ…」
へたり込んだままこちらを見つめている佐々山に一瞬目をやり、戻す。
髪ごと毟り取った頭皮の中、そこに在る筈の、かつての友人。
「神の意識を手に入れても、死ぬのは怖いかい?」