#26 鉄の腸
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「結局のところ、機械的なプログラムで判定出来るのはせいぜいが色相診断によるストレス計測までだ。より深遠な人間の本質を示す犯罪係数の測定にはもっと高度な思考力と判断力が要求される。それを実現し得るのが、我々なんだよ。」
一際高く、天を衝くタワー
光を纏って壮麗に、輝いている。
「……お笑い種だな。」
色褪せた、ボロボロの紙箱
いちいち確かめてみなくても知っている、最後の1本。
――お前に
「人間のエゴに依存しない、機械による公平な社会の運営。そう謳われていたからこそ民衆はシビュラシステムを受け入れてきたというのに…。その実態が、人間の脳の集合体である、君達による恣意的なモノだったのか。」
「いいや、限りなく公平だとも。民衆を審判し監督している我々はすでに人類を超越した存在だ。シビュラシステムの構成員たる第一の資格は、従来の人類の規範に収まらないイレギュラーな人格の持ち主である事だ。悪戯に他者に共感する事も、情に流される事もなく人間の行動を外側から俯瞰し裁定出来る…そういう才能が望まれる。」
ベッドサイドに置かれた、溶液で満たされた瓶の中身を見つめる。
「例えばこの僕や、君がそうであるように。」
「ほう…?」
「僕もね、サイコ=パスから犯罪係数が測定出来ない特殊な人間だ。おかげでずいぶんと孤独な想いをしたものだ。そのようなシビュラの総意をしても測り切れないパーソナリティは、免罪体質と呼ばれている。凡百の市民とは一線を画す、新たな思想と価値観の持ち主…そういう貴重な人材をみつけて取り込む事で、システムは常に思考の幅を拡張し、知性体として新たな可能性を獲得してきた。」
「そうか…。公安局の手に落ちた君が、処刑される事もなく姿を消したのは…」
その縁が小さく、揺れているのが、見える。
世界が、壊せるか?