#26 鉄の腸
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「今回の事件、目の付け所はさすがと言う他ない。実際君のお仲間は真実に辿り着いていたよ。」
投げられた小型の携帯端末は、グソンが使っていた物だ。
「………」
ひび割れ、さらに赤黒く固まった血痕まで付いている画面を、起動する。
<…………何なんだ、こりゃ…………>
呆然と呟いた公安局の執行官の隣で、佐々山光がまるで糸が切れたように膝を着く。
<コイツが…シビュラシステムの正体だ…!>とグソンの箍が外れたような声と共に展開された光景を、見つめる。
真っ白い空間の中、まるで機械部品かなにかのように規則正しく配列された、夥しい数の”脳”。
半透明のケースにパッケージングされた”脳”がクレーンで吊られ、どこか別の指定位置へと移動していく。
「シビュラシステムは、所謂PDPモデル…大量のスーパーコンピューターによる並列分散処理という事になっている。嘘ではないが、それは実態とは程遠い。ナレッジベースの活用と推論機能の実現は、ただ従来の演算の高速化によって実現したわけではない。それが可能だったシステムを並列化し、機械的に拡張する事で膨大な処理能力を与えただけの事だったのさ。」
クローズ・アップされた1ケースのホログラフパネルに表示されているのは…これは、犯罪係数――サイコ=パスか。
「人体の脳の活動を統合し思考力を拡張、高速化するシステムは実はもう50年以上も前から実用化されていた。この技術を運用し、慎重に秘匿したからこそ、我が国は目下のところ地球上で唯一の法治国家として機能出来ている。」
<この手でブチ壊すまでもねェ…コイツを世間に公表すれ――この国はお終いだ!今度こそ本ト…――に――>
音が飛び、画面が激しいノイズに覆われる。
「目下、システムの構成員は247名。内200名程が順番にセッションを組む事でこの国の全人口のサイコ=パスを常時監視し、判定し続ける事が可能だ。」
恐ろしく低い位置から映し出されたいつかのどこかで、赤が水溜まる。