#26 鉄の腸
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「懐かしいな…あれからもう3年になるか。」
「僕は、君が公安の手に落ちたと聞いて、心底残念に思ったものだ。しかしその顔は、整形…いや違うな。体格からして別人だ。」
咄嗟に探したサファイヤブルーは、辺りのどこにもない。
刻まれるバイオグラフ――
色相は、パウダーブルー。
「全身のサイボーグ化は、お友達の泉宮寺豊久も実現していたよね?だがここまで完璧な義体化技術は民間には公開されていない。」
犯罪係数は……32。
「生身の人間と全く見分けがつかないだろう?君の知っている藤間幸三郎は、脳だけしか残っていない。」
薄いパテーションの向こう側を、恐らくは看護服を着用した人物のシルエットが往来している。
「どういうことなんだ。あれだけ世間を騒がせた連続猟奇殺人犯が、公安局のトップだと?冗談にも程がある。」
「厳密には違う。禾生壌宗は僕一人ではないし。僕もまた常に禾生壌宗というわけではない。僕らの脳は簡単に交換出来るよう、ユニット化されていてね。いつも持ちまわりでこの体を使っているんだ。ま。日頃の業務の息抜きも兼ねてね。」
脳のユニット化――
持ちまわりで体を使う…
いや、待て。
「僕らだと?」
「ああ。僕はあくまで代表だ。君と旧知の間柄、という事でこの場を任されたに過ぎない。姿を人目に晒した事はないけれど、僕達名前だけならそれなりに有名だよ。君だって知ってる筈だ。」
優越感を滲ませた声が、ある種の熱を帯びて高まる。
「世間では僕らの事を、シビュラシステムと呼んでいる。」