#26 鉄の腸
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「槙島に関する事件の取調べは、厚生省大臣が編成した特殊チームで行う。公安局は捜査権を失った。」
「はい…?」
「極めて得意なケースだ。取調べには、医療スタッフも常時同席せねばならん。情報の機密性も問題になる。」
矢継ぎ早に並べ立てられる言葉にようやく思考を取り戻し、慌てて口を開く。
「槙島聖護は、過去を遡って、様々な事件に関与していた疑いが濃厚です。事実関係を明らかにする為にも、公安局での尋問は必須です!」
自分達が逮捕したのだ。
それが、当然の権利だ。
「その過去の事件とやらに、未解決のものがあるかね?」
「いいえ。しかし…「槙島は研究用の検体として処分される。いや、処分された。」
ルービックキューブを掲げた局長が、それに固定した目を瞬く。
「逮捕した人間の事よりも、君の一係は大問題を抱えているだろう?」
ふっとその表情が僅かに崩されるのを、黙って見つめる。
「監視官が一人行方不明、執行官が一人逃亡。未だ何の手掛かりも得られていない。」
「!まだ逃亡と決まったわけでは…」
「シビュラシステムはすでに復旧している。佐々山監視官はともかく縢執行官が監視の網に引っかからないのはそれを避けて行動しているからだ。このままじゃ、責任問題になるよ。」
「それは…その……」
言葉を濁すしかない自分を見上げてくる視線は、どこか人形染みていて。
纏わり突くような細煙草の匂いさえ、耐え難かった。