#03 飼育の作法
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鉄の壁が割れた途端、静寂と共に流れ込んできた無機質な匂い。
「ここでは組みあがったドローンの安全点検を行っています。」
進行方向左は前面対衝撃ガラスになっていて、その向こう側に一列50台近くのドローンが整然と、延々と並んでいる。
「他の工程は全て機械任せですが、最終チェックだけは今も昔も人間の手でやるしかない。見ての通り危険な業務です。」
「デバッカーの方々にとっても、かなりの負担なのでは?」
「そうですね。実際ここは、外と違ってストレスケアの手段が乏しい。ネットに接続できないので娯楽の手段も限られていますし…」
『オフラインなんですか、ここ?』
「回線そのものが設置されていませんし、この建物自体が電波暗室になっています。なので外部の通信網にアクセスする手段は一切ありません。ハッキング対策としては、最も効率の高い保安体勢です。」
笑顔で解説する主任さんを見つめていた光ちゃんが、作業場に視線を戻す。
『What the hell…』
「ぞっとするねえ、陸の孤島かよ…。」
後に続こうとして、足を止める。
子どもみたいにガラスに手をついて興味深げに中を見るその横顔に
「ひか――
その後ろでポケットに手を突っ込んで立つ狡噛さんの顔に、目を瞬く。
『朱ちゃん』
「あ、え?」
常になく真剣な眼差しを、見返す。
『時に栄養ドリンクって、何飲んでる?』
「は……?」
上から降ってきた咳に二人して振り仰いだ時、宜野座さんの声が、響いた。