#26 鉄の腸
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「まるでパンデミックの後始末だな…。」
新宿区にある市民体育館。
常とは様変わりしたその内部には大量のベッドや医療用ドローン、カウンセリングスタッフが手配され、暴動に巻き込まれた市民達のストレスケアに従事している。
規定値を越えていた内の逃亡しようとした何人かはパラライザーで対応したが、その気配のない者に対しては拘束するに留めた。
告げられたままに狙撃するという行為に必要性の無さを感じたのは、あまりに消沈した彼等の姿が多分に影響したのだと思う。
「サイコ=ハザードは精神の疾病だ。拡散すればこの有様だ。」
「大規模なメンタルケア、パンクした収容施設、都市機能のマヒによる経済的損失…槙島というのは、とんでもない男でしたね。」
「過去形にするのはまだ早い。ヤツの量刑をどうするか…裁判員制度なんてなくなって久しい今、証拠だけで立件するってのァ、ちょっと難題だろうなぁ。」
アリーナの向こう端にまで並べられたベッドを眺めていると、肘で小突かれる。
「頼んだぜ、監視官。」
「…馴れ馴れしいぞ。執行官。」
「へいへい。」
もたれかかっていた手摺から体を浮かせた六合塚が、こちらに向き直る。
「でもこれで、ようやく動けますね。佐々山と縢を探しに行けます。」
「だなぁ。まずは厚生省ノアタワーから二人の足取りを追う事から始めにゃぁ…どうする、一旦戻ってラボで情報を洗うか。」
「そうだな…。そろそろ常守と狡噛の治療も…」
リングが立てた呼び出し音に視線を下げ、表示された名前に眉を顰める。
「局長からの呼び出しだ。」